暇つぶしから開かれる新しい世界

通勤電車では、本や携帯のような暇つぶしアイテムが無いとなかなかに暇である。中吊りも見たことあるものばっかりだし、最近は動画が見れたりするが、これもすぐ飽きる。そばにいる人の顔をじろじろ見るわけにもいかず、熱心にメールを打っているのを覗き込むのもいささか具合が悪い。走行中は窓の外を眺めることもできるのだが、停車中ともなると、さてどこに目をやったらいいかと心底どうでもいいことで頭を悩ますわけである。ホームの列車待ちの人と目が合ってしまい、お互いに視線をそらした後の発車までの視点移動のやり繰りなど様式美かと錯覚するほどである。
そんな面倒な思いをしないための視線移動を模索したりして、そのうち面倒になってくると、だいたい歩行者の下半身辺りを眺めることになるわけだ。下半身というとやっぱりメインはお尻と行きたいところですが、電車の中で臀部やら股間やらを凝視する行為というのは反社会的な人物との烙印を押されかねないわけで、痴漢呼ばわりされた際に「目のやり場に困って、おしりを見つめていました」という言い訳が果たして通用するのかどうか。
そんな思慮深き理由から、さらに下を見ざるをえない現実に少し打ちひしがれている訳ですが、結局足しか見るところが無いんですよ。というか、足だけなら見放題。座ってる時なんかは視線が低いから、足を眺めては品定めするしか暇の潰しようが無い。
残念なことに足フェチでは無いので「足なんか見てもうれしくねーよ」と思っていたんですが(靴見るのはいろいろと参考になるけど)、この間足を眺めてたら意外と健康状態とかわかるんじゃないかと気がついて、少し真剣に観察するようになった。肌の状態(見えていれば)を始めとして、肉のつき方に歩き方と服装まで加味すれば、これは意外と情報が多いですよ。達人が体の一部を見て人となりを判断するみたいな話があるけど、なんかそーゆー世界を垣間見た。
あと、「うほっ!いい足!」とか好みを探し始めると足フェチに近づいていく気もした。
 
せっかく人が多い街にいるんだから、たまには人を見るのもいいかも知れんと思うのであった。